22話 タコパ 


里緒奈たちも先に帰ったし俺たちも遊びまくってお腹もすいていたのでそそくさと着替えて里緒奈の家へと向かう。


「多分こっちで・・・・・・あ!あれだよあれ!あのデカい赤レンガの家!」


俺たちの中で里緒奈の家を知っているのは俺だけだったので、舞依、萌花、沙也加、姫花ちゃん、夕凪ちゃんを先導するように道を歩く。


しばらく歩いたところで薄っすらと見覚えのある豪邸が見えてきた。

あの煙突付きの赤レンガの家が里緒奈の家だ。ちなみに3階建てで庭付き。


「へぇーひろ君が里緒奈ちゃんと仲良かったのも、ましてや家の場所知ってたなんて私知らなかったなーー?」


「萌花もー 何かショック」


「裕哉って昔からそうだったんだっ・・・・・・さっきも2人中良さそうだったしー?」


後ろからチクチクとした言葉で攻撃される俺。

ここで言い返しても勝てないのはわかっているので藪をつつくことはしない。

俺は空気が読める男だから。


「たっこ焼っき♪たっこ焼っき♪」「私タコパ初めてだよ!」


「2人とも楽しみだね!俺が上手いの焼いてあげるからな!」


「うん♪」「お願いします!」


前で楽しそうにスキップする姫花ちゃんと早足気味の夕凪ちゃん。

俺は2人を連れて早歩きで里緒奈家に。



「裕哉ー!はやくはやくー!私お腹すいたよー!」


里緒奈母の案内で庭に行くと、そこには待ちきれずに体を揺らす里緒奈と座る唯華と涼花の姿があった。


「お待たせ・・・・・・・・ってなにこれデカくない?俺の知っているタコ焼き機じゃない!」


「そう?別に普通だと思うけど・・・・・」


目の前のテーブル中心に設置されている赤と黒でピカピカのタコ焼き機。

それは、俺の使っていたのは所詮パチモンにしか見えないような5桁はするだろう高級感が漂っていた。


「じゃあみんな揃ったし早速焼こ!」


里緒奈の合図に各々近くの席に腰を下ろす。

そして、里緒奈が慣れた手つきで生地を流してからタコを入れていく。






「うまぁ?!」


嚙んだ途端に感じる、外はカリカリ中はホクホクの食感。

そして味覚を刺激するのは染み渡った出汁の風味にソースの食欲のそそる味付け。

更には真ん中に潜んでいたタコは普通よりも大きくて噛み応えがあり最後まで存在感を主張している。



・・・・・何だこれバカ美味いぞ。



「うわー!すごくおいしいー!」


「・・・萌花の人生で一番のたこ焼き」


「おいしっ!?たこ焼きってこんなに美味しかったっけっ?!」


俺と同様に舞依たちも里緒奈のたこ焼きに驚愕していた。


「んーーーーーーーーー!!!!!!!! うまぁ・・・♪」

「・・・!!お、おいしい・・・・・!!」



頬っぺたに手をあてて悶える姫花ちゃんと小動物の様にパクパクと貪る夕凪ちゃん。凄くエモい光景だった。



里緒奈とその母が焼いてくれるたこ焼きを食べ進める。

うまし。



すると、里緒奈とその母が騒がしくなり、顔を赤らめた様子の里緒奈が俺の元へ向かって来た。


その手には、美味しそうなたこ焼きがあった。



「・・・・は、はい裕哉!!あーんして!」


「・・・・・・あ、あーん」

「「「「?!」」」」


フーフーと冷ましてから俺にたこ焼きをあーんする。


「・・・・・ど、どう・・・?」


「あ・・・・うん・・・・・美味しいよ」


「そっか・・・・よかった」


羞恥心からお互いに目を合わせずにそう会話する俺達。

里緒奈は嬉しそうに下を向いた。


たこ焼きよりも顔の方が熱くなっていた。




すると、俺の視界にはお前の番だ!と言わんばかりの視線を送ってくる里緒奈母。

俺はその意図を理解したので、自身の皿にあるたこ焼きをあーんしようとした。


しかし、舞依たちから感じる恨めしい視線。

最初にやるなら舞依からが筋か。


「ひ、裕哉・・・・あーん、して?」


「・・・・お、おう」


そんな考えも赤面で涙目なのに積極的な里緒奈の声で消失。

俺はたこ焼きを箸で掴むとふーふーと冷ましてから、里緒奈の小さな口へと運んだ。


「あーん・・・・・ど、どう?」


「・・・・・・おいしい・・・・////」


「そ、そっか・・・・」


「・・・・・」


里緒奈の口に入った箸を凝視したのは悪くないはず。

間接キス何て大人になってからは気にならなかったのに、相手が同級生の女子とあれば話は別だった。


いたたまれない空気になる俺と里緒奈。

しかし、


「ひーろー君ー!」


「ひろ君、萌花も!」


「裕哉っ!私が食べさせてあげるっ!」


「わかったから!箸でわき腹をつつくなよ!」


舞依、萌花、沙也加が乱入し、俺に同じことをせがんでくる。

ツンツンとされる割り箸攻撃に晒された俺は、たこ焼きをあーんするマシーンになった。





「あーん・・・・えへへ・・・・・・・・・って!なにこれ辛っ?!」


「ぶふっ!」


「・・・・っ!!! こ、このー!裕哉ーーーーっ!!」




しかしそれではつまらないだろう。


俺はこっそり入手したワサビを見えないように裏側に塗ってから、沙也加の口に突っ込んだ。


はしたなく追いかけてくる沙也加。

俺はそれを軽くあしらいつつ、姫花ちゃんと夕凪ちゃん、唯華に涼花、そして何故か里緒奈母にもあーんしてまわった。




普通のたこ焼きを食べた後は変わり種の闇たこ焼きをしてぎゃーぎゃー騒ぐ俺達。

最後にはここにいる全員で写真を撮ってもらった。



俺の前世では叶うことの無い、満ち足りた時間。




機会があればまたやりたい。

そう思えるくらい充実したタコパだった。




★★★

あとがき


作者もされたい・・・・!!!!!



ズルイズルイ!ヾ(:3ノシヾ)ノシ ジタバタ


    〃〃∩  , ,

     ⊂⌒( `Д´) < ズルイ!

       `ヽ_つ ⊂ノ

              ジタバタ





読了感謝です!

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また、コメント等もモチベーションが上がります!


今後ともよろしくお願いします!

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