20話 姫花ちゃんの可愛さ無双
沙也加の妹の姫花ちゃんと夕凪ちゃんが泳ぎ方を教えてほしいとお願いして来たので、みんなで教えることに。
「体がぶれないようにするのが大事だよー!」
「バタ足もしっかり頑張らないと姿勢が崩れちゃうからねー!」
「「は、はい!がんばります舞依ちゃん先生!」」
経験者の舞依が泳ぎ方について教えている。
先生と呼ばれて嬉しそうにしていた。
一方で俺たちは、
「ほらほらー!頑張れ2人ともー!」
泳ぐ2人を誘導するように前を歩く俺。
「姫花ファイトー!」「夕凪ちゃん頑張れー!」
姫花を注視して声援を送る沙也加と夕凪に声援を送る萌花。
万が一にも事故にならないように見張りつつ、応援をするのが役目だった。
正直暇を感じてしまうけど、小さい子が頑張っているのを見るのは意外と楽しかった。
「よーし!だいぶ泳げるようになったね!おめでとう!慣れたかなー?」
ビート板を使ってはいるものの、2人とも十分な距離を泳げるようになっていた。
これなら学校の授業でも問題ないだろう。
2人も舞依にそう褒められて嬉しそうにする。
「そんなに難しくなかった!」「力を抜くようにしたら上手くいきました!」
まずは水に慣れるのが大事。
そして泳ぐのが怖くなったり嫌になるのが一番良くない。
そういうわけで、頑張る練習はここまでにして2人と一緒に遊ぶことに。
「裕哉にぃ!あーそーぼ!」
「ごめんね裕哉っ!姫花が裕哉と遊びたいってうるさくて!」
「む!おねーちゃんは来なくていいよっ!」
練習が終わったと同時に俺の方に突撃をかますのは沙也加の妹姫花ちゃん。
保護者役の沙也加が申し訳なさそうに言う。
だけど俺にとっては沙也加よりも姫花ちゃんの方が嬉しかった。
・・・結構根に持つタイプなのだ、俺は。
俺は、抱き着いてくる姫花ちゃんを犬猫をあやす様になでなでする。
「よしよし姫花ちゃんは可愛いなぁ・・・・」
「えへへ♪本当に姫花可愛いー?」
「ああ!可愛いぞぉ~!!妹にしたいくらいだ!」
「あはっ♪裕哉にぃ♪」
「・・・ぐぬぬ・・・・・・ボソボソ・・・・・・図々しいよ姫花っ・・・裕哉になでなでなんてしてもらって・・・!!私だってまだなのに・・・・!!」
妹がいれば姫花ちゃんみたいな子だったんだろうか。
いくらなでなでしても可愛すぎて飽きそうになかった。
「裕哉にぃ!あれやりたい!お願い!」
「え?どれどれ・・・・・」
しばらく撫でると満足したのか離れる姫花ちゃん。
すると今度は、向こうの方を指さして俺にせがんできた。指さす方に顔を向けると、ビート板を重ねて浮かばせた上に乗ることで水に浮いている子供たちがいた。
・・・ああ、あれか。誰しも通る道だ。
水に浮いてはしゃいで、そこからひっくり返るまでがセットだ。
「ちょっと待っててね姫花ちゃん?ビート板取ってくるから」
ここにあるのは姫花ちゃんと夕凪ちゃんの持つ2枚だけ。
俺は姫花ちゃんの要望に応えるために追加で取りに行こうとする。
だが、
「違うよー!姫花は裕哉にぃに乗るのっ!そして、水の上を動くのっ!」
「え・・?俺の上に・・?」
ふんす!と勢いよく頷く姫花ちゃん。
どうやら座布団に乗って空に浮くみたいな感じで、俺に乗って水に浮かびたいらしい。
――いや流石に無理だろ。
腹の下にビート板でも入れれば別かもしれない。浮力的なあれで。
だけど姫花ちゃんは俺が1人でなんとかできると思っているらしく、期待した目でこちらを見る。
「・・・・・・やれるだけやってみる!」
「ありがとう裕哉にぃ♪」
俺に姫花ちゃんの期待を裏切ることなってできなかった。
俺は、直ぐに仰向けになってから肺に空気を送り込み、全身の力を抜く。
姫花ちゃんの目の前には、プカプカと水に浮かぶ俺の姿があった。
「・・・・さあ乗りなっ!」
「うん♪よいしょ・・・?!」
姫花ちゃんが俺のお腹に乗った瞬間、重さで沈みかける。
当たり前だ。普通に考えて浮くわけがない。
しかし俺は諦めなかった。
女子にちやほちゃされるために鍛え上げた己の肉体に信号を送る。
俺がこれまで努力してきたのは・・・・姫花ちゃんを喜ばせるためだっ!!!
一度沈んだかに見えた身体が再び浮上する。
「わぁー!さっすが裕哉にぃ!すごいすごい!たのしーー!」
「・・・そ、そっか・・・喜んでもらえて俺も嬉しいぞ・・・」
腹上でハシャグ姫花ちゃんを見て溺れないように頑張っていた俺も嬉しくなる。
しかしだいぶ厳しい。物理法則を上回るのは容易ではなかった。
しかし姫花ちゃんはただ可愛いだけじゃなかった。
俺の厳しそうな様子に気付いたのか姫花ちゃんは・・・・俺に重なるように横になることで負荷を分散させようとしていた。
・・・・・すでに”重心”の概念を理解している・・・・だと?!
「裕哉にぃの上あったかーい♪お腹も割れててすごーい♪」
「・・・・・・」
俺の身体をペタペタと興味深そうに触り出す姫花ちゃん。
あざと可愛い。
やっぱり妹、いや娘がいればこんな感じなのかなぁ・・・愛でたい。
同時に俺は姫花ちゃんからキャバ嬢みを感じた。
自然と相手の心に入り込み、喜ばせ、そして一度体験したら抜け出せなく魔性さを持っている。
もしかしたら将来姫花ちゃんは男を破滅させる魔性の女になるかもな。
あの可愛さで「今日もお仕事お疲れ様♪」「私欲しいバックがあってね♪」とか言われたら貢がずにはいられない。
・・・沙也加と言い姫花ちゃんと言い、あの家は一体どうなってんだ。
「あの・・・私もいい?」
「・・・遠慮しなくていいぞ!」
「ありがとう!」
姫花ちゃんに続いて夕凪ちゃんも乗船する。
俺は気合で物理法則を突破し続けることで、2人に新感覚の船旅をお届けすることが出来た。
なお、
「ひろ君私もーーー!!!」
「ひろ君萌花も乗るー!」
「裕哉ー!!!私の番だよっ!!!」
「うわ?!おいバカ無―――」
「「「――きゃーーーーーーーーー!!!」」」
大人げなく乗り込んできた3人のせいで、呆気なく沈んでしまったとさ、おしまい。
――こんな感じで俺たちは、プール遊びを満喫していた。
★★★
あとがき
姫花ちゃん回でした!
読了感謝です!
もしよければ☆☆☆をくれたら作者が喜びます!
また、コメント等もモチベーションが上がります!
今後ともよろしくお願いします!
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