閑話 お仕置きタイムver.羞恥
これは裕哉が
☆☆☆
昼休みの教室は、いつもと変わらず和やかで女子たちが集まってお喋りに花を咲かせていた。
男子たちとの遊びを途中で抜け出してきた俺は、そんな教室へある決意を胸に入っていった。そう、お仕置きである。
「舞依ー!」
最初のターゲットは・・・・舞依だ。
俺が普段とは違って皆がいる中で呼びかけると、舞依は少し驚いた様子でこちらに向かって来た。
「ひ、ひろ君?どうしたの?」
少し恥ずかしそうにする舞依。
それもそのはず、先ほどまで舞依としゃべっていた女子達どころか教室に残っている皆の視線が俺たちに集まっていた。
――よし、やるなら今だ。
俺は無言のままで舞依に近づき、舞依の身体を軽く抱きしめた。
「――ひ、ひろ君?!」
『『『うわぁぁぁぁ!!!!』』』
『舞依ちゃんと裕哉君が抱き合ってる!!』『2人とも大胆だね!!!!』『やっぱり2人って恋人同士だったんだ!!』『そんなの授業中のイチャイチャ見てれば常識でしょ』『あ、確かに!先生も呆れてたもんね』『私も恋人欲しいなぁ~!!』『早速他のクラスの子に教えないと!ビッグニュースだよ!!』
舞依の顔が羞恥で真っ赤になるのがわかった。
教室内は女子たちのざわつく声が一気に大きくなり、完全に注目の的だった。
「~~~!!!!!!」
舞依はプシューと死にそうになっていた。
俺はというと、最初からどうするかを決めてたからあまり緊張していなかった。決めていた演技をしてるようなものだからかな?
さて、これでお仕置きは十分だろう。
邪魔者はさっさと退散しますか。
「また後でね、舞依!」
「――ひ、ひろ君?!どこに行――」
『『『ちょっといいかな舞依ちゃん?!聞きたいことがあるんだけど!』』』
「いやーーー!!!!!!!助けてひろ君ー!!!!!」
すまん。これもこの前の舞依が悪いんや。存分に反省してもろて。
舞依の叫びを背に俺は颯爽と教室を出た。
『いつもハグしたりしてるの?!』『もしかして既にキス、とかしてるの?!』
「え?!え、えっと・・・////」
『本当なんだ?!』『舞依ちゃん達進みすぎ!』『え、キスしたら赤ちゃんできるんじゃないの?!大丈夫?!』『『『純粋すぎる?!』』』
まさかの天然ちゃんにツッコミが入った。
「んーーーー!!!もういいでしょ!席に戻って!それに、誰もキスした何て言ってないよ!!!」
自身を囲む女子たちに舞依が反論する。
勝手に捏造して盛り上がるな、と。
・・・実際はしていることを億尾にも出さず。
流石にそこまではバレたくない舞依であった。
しかし、彼女たちは「舞依と裕哉がやったであろう行為」について妄想を膨らませてキャーキャー騒いでいた。
『『『舞依ちゃん!今日はじっくり聞かせてね!!!』』』
「もうやだお家帰るー!!!!!!」
バカ騒ぎ声が廊下まで響いていた。
今後しばらく、自分と裕哉を見てニヤニヤする女子たちに悩まされることになることを、舞依はまだ知らない。
☆☆☆
場所は移って裕哉は別の教室にいた。
それは、次のターゲットである萌花にお仕置きをするためだ。
「萌花いるー?」
「あれ、裕哉君?萌花ちゃんならあそこにいるよ」
「さんきゅー」
普段俺から萌花のクラスを訪ねることがないため、少し驚いた様子の女子。
お礼を言ってから彼女の指した方を向くと、自分の席に座って本を読んでいた萌花がいた。
「萌花ー」
「・・・ひろ君?」
驚く萌花の席に向かう。
既にクラス内では、皆が俺と萌花の関係性――俺が萌花にストーキングされていた――という話を知っているので、『あの2人どうしたんだろ?』『裕哉君がストーカー辞めてって言いに来たのかな?』『え?萌花ちゃんと裕哉君って恋人同士じゃないの?』『別クラスの舞依ちゃんでしょ?』『二股らしい』『『『え?』』』と、奇異の目で見られていた。
・・・何やら鋭い視線に晒される予感がするのでなるはやで行こう。
俺は萌花の頭にそっと手を置くと、優しくなでなでした。
艶やかな黒髪の柔らかな感触が心地よくて、しばらく夢中になっていた。
「?!ひ、ひろ君?!い、いきなりどうしたの・・・?」
驚く萌花が小声でそう聞いてくる。
萌花は驚きと同時に顔を赤らめ、そして周りの視線にコミュ障を発症していた。
「いや・・・つい」
「・・・そ、そっか」
室内には俺たちの会話のみが響いていた。
そのせいかどこか緊張感を感じた。
――よし、退散だ。
「じゃあまた後でね、萌花!」
「え?!ひ、ひろ君・・・?!」
俺の急な方向転換に停止する萌花。
俺はすたこらさっさと廊下へ逃げた。
『『『きゃーーーー!!!!!』』』
そして、一拍置いて、歓声が上がった。
『え?!ちょ、どういうこと?!』『何あのやり取り?!少女漫画みたい!』『え!え!ねぇ萌花ちゃん?!聞いても良いよね?!てか、ダメって言っても聞いちゃうけど!』『『『萌花ちゃん!!』』』
「え、あ、えっと・・・・」
――私、気になります!
そんな顔をした女子たちが萌花の元へ殺到していた。
普段あまり話さない女子たちに口ごもる萌花。しかし、相手はそんなことよりも聞きたいことが山ほどあった。
『裕哉君とはどういう関係なの?!』『萌花ちゃん裕哉君が好きだったよね?ついに恋人同士になったの?!』『じゃなきゃ頭ポンポンなんてしないでしょ!!』『でも噂では舞依ちゃんと恋人同士だって聞いたよ!』『私は裕哉君が二股してるって聞いた!』『え?転校生の沙也加ちゃんを入れて3股じゃないの?』『『『教えて、萌花ちゃん!!』』』
ぐっと顔を近づけてくる女子達。
「う、うーーーーーーー!!!」
軽くパニックになる萌花。
そして、
「ーーーーー!!!!萌花はひろ君のことが昔からずっと好きなの!私がひろ君の一番になるのーーー!!!!!」
自分でも何を言っているのか自覚のないままそう叫んだ萌花は、勢いよくマイベストプレイスの女子トイレへと走っていった。
『『『きゃーーーー!!!!』』』
『教室で愛の告白!?』『萌花ちゃん可愛い!』『私、萌花ちゃんの事誤解してたかも』『私も!』『本当は凄く一途な女の子だったんだね!』『裕哉君が好きっていうのが伝わって来た!』『なんだかこっちが恥ずかしいんだけど!』『『『萌花ちゃん、可愛すぎ!!!』』』
バカ騒ぎ声(2度目)が廊下まで響いていた。
今後しばらく、自分の頭を撫でに来たり、恋愛について聞きに来たり、裕哉君のどこが好きなのかと聞かれて嬉しそうに早口で答えて『『『萌花ちゃん可愛い~!!』』』とされたりと、クラスのマスコットキャラ的な扱いを受けることになることを、萌花はまだ知らない。
★★★
あとがき
――舞依かわえええええええ!!!!
――萌花かわえええええええ!!!!
というわけで、裕哉のお仕置きが実行されました。
その結果は以下の通り。
・舞依:少しでも裕哉を見たり話したりするだけで女子からニヤニヤの視線を受けることに。やったね!
・萌花:コミュ障ボッチから一転しクラス内の裕哉一途過ぎる可愛いマスコットキャラに。大出世だね!
読了感謝です!
もしよければ☆☆☆をくれたら作者が喜びます!
また、コメント等もモチベーションが上がります!
今後ともよろしくお願いします!
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