15話 舞依とおうちデート


夏祭りが終わってからしばらく経ったある日。


お昼ご飯をしっかりと食べ終えてから、俺は自転車に乗って家から移動する。

目的地は・・・・舞衣の家。

何時もは萌花の家で遊ぶことが多かったので行くのは久しぶりになる。


「よし、着いた!」


「まーいーちゃーん!遊びましょー!」


自転車でおよそ3分。

俺は舞衣宅の庭の隅に自転車を止めてからチャイムを鳴らし呼びかける。


「あらあら、裕哉君!いらっしゃい!」


「あ、おばさん!ども、お邪魔します!」


しばらくすると舞衣のお母さんが中に迎えてくれた。

舞衣のお母さんだけあって綺麗な人だ。俺は軽く挨拶をしてから家に上がる。


「——ちょっとお母さん!舞衣が出るからって言ったでしょ!余計なことしないでよー!」


「私だって裕哉君と話したい~!」


「お母さん気持ち悪い!いいからあっち行って!」



おばさんが舞衣を呼びに行くのを待っていると、遠くの方で舞衣とおばさんの話し声が聞こえてきた。・・・相変わらず仲いい親子だ。



「ひろ君お待たせー!舞衣の部屋行こ!」


「わかった」


舞衣と一緒に舞衣の部屋に向かう。

途中おばさんから「お菓子持っていくからねー」の言葉に感謝を伝えつつ、部屋に入った俺は床に置かれたクッションに腰を下ろす。


久しぶりに入った舞衣の部屋は、水色と白系統の色で揃えられた可愛らしい部屋だった。すごく舞衣っぽい部屋って感じだ。


「今日は何するの?デートって言ってたけどさ」


おばさんから受け取ったお菓子とジュースをつまみつつテーブルを挟んで向かいに座る舞衣に問いかける。


舞衣は、「よくぞ聞いてくれた!」と頷いてから俺の方をビシッと指さし、今日のプランを説明する。


「ひろ君はこの前他の女の子に夢中になって舞衣を蔑ろにしました。ここまではオーケー?」


「・・・・・・お、おう」


当時を思い出して申し訳ない気持ちになった。

本当にすまんかった。


「そして、萌花ちゃんとも恋人になりました。そうですね?」


「・・・・・は、はい」


俺って客観的に見て碌な男じゃないな?もしかしなくても。


「舞衣は思うのです。どんどん他にも相手が増えて、最終的に舞衣はいらない子になってしまうのではないかと」


「そ、そんなことは絶対にない!俺は舞衣のことが!」


「わかってるよひろ君、落ち着いて」


「ご、ごめん」


舞衣の言葉に思わず大声を出してしまった。

謝罪をしてから力を抜いて座り直す。


だが、舞衣を捨てるなんてそんなことは絶対にない。

俺はそう確信していた。


・・・俺は舞衣を不安にさせていたのか・・・何とか誤解を解いておかないと・・・!!!


俺がそう考えたところで、「だからね、」と舞衣が続けて言った。


「だからね―—今日は私を安心させてほしいな」


―—ひろ君が舞衣を好きだってことを証明してほしい。


俯きながら舞衣はそう零した。

膝を抱えるように座って落ち込んだ雰囲気の舞衣。


それを見て俺は、自分が如何に舞衣を不安にさせてしまっていたかを痛感した。

確かに舞衣とは、俺が告白して恋人同士になりキスもしてきたが、その後すぐに萌花と付き合ってしまったし、他の女の子の沙也加とも仲良くしていた。


俺は舞衣を勘違いさせるような行動を取っていた・・・


「舞衣・・・・ごめん、俺は」


「言葉だけじゃわかんないよ」


「——舞衣!好きだ!」


俺は自分の想いを伝えるように強く舞衣を抱きしめてから、唇にキスをした。


「「ちゅ・・んっ・・」」


互いの鼻が触れ合う距離で見つめ合いながらキスを交わす。

舞衣が答えるように俺を抱きしめる。


「「じゅる・・・・んっ・・・・・」」


夢中になって舌を絡め合う。

必死に応える舞衣がすごく可愛かった。


「「・・・ぷはっ・・・・はぁ・・・はぁ・・・」」


キスは呼吸が苦しくなるまで続いた。

ただキスをしただけなのに途轍もない幸福感と疲労を感じた。


「ひろ君・・・・後ろから・・・強くぎゅってして・・・・・」


「舞衣・・・」


息を荒げて少し涙目の舞衣が上目遣いで懇願してくる。

俺は足を横に広げ、出来たスペースに舞衣を移動させると、体全体と足で覆い被さるように抱きしめた。


「ひ、ひろ君・・・・えへへ・・・少し痛いけど・・・すごく安心するな・・・・」


「そっか・・・・・・・舞衣、好きだよ・・」


「私も・・・・好きだよ、ひろ君・・・・」


俺の中で舞衣が嬉しそうにそう零す。

この体勢だと全身で舞衣を抱きしめられるので俺もうれしい。


「えへへ・・・・ひろ君ー・・・・」


「よしよし・・・・いい子いい子・・・」


時には抱きしめながら頭を撫でる。

さらさらとした舞衣の髪は撫で心地が良く、舞衣の甘い匂いがする。


「すぅーー・・・・いい匂いだ・・・」


「もー・・・恥ずかしい・・・・あんまり嗅がないでよー・・・・・」


時にはわざと舞衣に聞こえるように匂いを嗅ぐ。

字ずらだけ見れば犯罪者だ。


だけど止められない。

恥ずかしがってポコポコと抵抗する舞衣は可愛すぎた。


「舞衣は本当に可愛いなぁ・・・」


「えへへ・・・・舞衣はひろ君のものだからね・・・・?」


そんな感じでイチャイチャをしてたらあっという間に時間が経過していた。

町内に夕方の放送が鳴り響く。


「あ、もうこんな時間だ」


「ほ、本当だー!時間経つの早い!」


名残惜しいがこれ以上居座るとおばさんにも迷惑だろうし、小学生はこの放送が鳴ったら家に帰らないといけない決まりになっている。


慌てて片付けを開始する証拠隠滅をする

舞衣の部屋には、毛布とかティッシュペーパーとかがあちこちに散乱していた。


「お邪魔しました!」


「裕哉君また来てね~!」


「はい!また来ます!」


おばさんに挨拶をしてから舞衣と2人で外に出る。舞衣は外まで見送りに来てくれたようだ。


外に出ると肌寒さを強く感じる。

先ほどが天国過ぎたので余計にそう感じた。


自転車を押して歩き、舞衣の家の前に出る。


「今日は楽しかった・・・・またね、舞衣!」


「私も楽しかった・・・・バイバイ、ひろ君!」


舞衣に別れを告げて自転車に跨ると、手を振る舞衣を背に俺は自宅へとペダルを進めた。



「——ひろ君ーーーーー!!! 私以外と話しちゃダメ!なんて束縛はしないけど・・・・・一番は舞衣だってことは忘れないでねーーーーー!」



少し離れたところで舞衣がそう叫んだ。



「ま、舞衣?!・・・・・・・もちろん舞衣が一番だーーーーー!」



近所の人に聞こえるぞ?!と驚いたが顔を赤らめた舞衣の顔を見たらそんなことはどうでもよくなった。


舞衣が一番だ。

舞衣に届くようにそう叫んだ俺は・・・・・・・やっぱり恥ずかしくなったので即座に撤収した。



・・・今日ぐっすり眠れるといいなぁ。



―—もちろん、羞恥と幸福感で寝れなかったのは言うまでもない。











一方、舞衣の暮らす鮎川家。


裕哉に愛を叫んだ後、舞衣が玄関の扉を開けるとそこには――



「いいわね~!!青春ね~!!」


「若いっていいわ~!!!私も昔は2人みたいに~!!!」


「ん”ん”っ・・・えーごほんっ・・・・・・・・『ひろ君ー!束縛はしないけど、一番は舞衣なん——』」




「——ぐぎゃーーー!!!!うるさいうるさいうるさいーーーーーー!!!!ママはあっちに行ってよ!!!!ママのばかーーーー!!!!」



自分を見てニヤニヤし、自分の真似をする母親がいた。


舞衣は実の母親に本気の殺意を覚えていた。




★★★

あとがき


ということで、裕哉と舞衣のデート回でした!

舞衣ちゃん可愛すぎだろ・・・・_| ̄|○、;'.・ グハッ!!(砂糖を吐いた作者)


そして念のために言いますが・・・・・最後まで手は出していません。手は出していません。(重要なので2回言った)





読了感謝です!

もしよければ☆☆☆をくれたら作者が喜びます!

また、コメント等もモチベーションが上がります!


今後ともよろしくお願いします!


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