14話 花火で好きな子と・・・そして少女の自覚



つい夢中になって沙也加と試合を繰り広げていたところ、急に後ろから両方の頬を抓られたをの感じて俺の意識が沙也加ちゃんから離れた。


「・・・・ひろ君ー?あのさー?ちゃんと私たちの演奏見てくれてたー?」


「・・・・・・萌花たちからは、2人がイチャイチャしてるのがばっちり見えてたよ」


犯人は舞依と萌花の2人だった。

かつてないほどのジト目を向ける2人・・・・俺はまさか「沙也加に仕返しするのに夢中で全く見てなかった」なんて言えるわけもないので、脳をフル回転させて言い訳を考える。


「・・う、うん!もちろん見てた!2人とも良かったよ!」


「そっかー?具体的にはどこが良かったのー?」


「萌花と舞依ちゃんが場所を入れ替わりながら演奏したところかな、ひろ君?」


「あ、う、うんそれ!音に合わせて入れ替わり立ち代わりで・・・2人とも息ピッタリで良かったよ!」


いや、そんなことしてたのか2人とも。

・・・・2人が仲良く演奏するところか・・・・・見ておくべきだったな。くそ、失敗した。見逃したぞ。録画とかあるかな?


見逃しを後悔しつつ表面上はよかったと褒める俺。


しかし、俺の感想に舞依と萌花が視線を交差させる。

そして2人溜息を吐いてから一言。


「そっかー!ひろ君は舞依たちのどこを見てたんだろー?不思議だね萌花ちゃん?」


「そうだね舞依ちゃん!萌花たちそんなことしてないのにね!・・・・もしかして他の女の子とイチャイチャしてて見てなかったとか?」


「えー?そんなわけないよ萌花ちゃん!彼女舞依が頑張ってるのに他の子となんて!ねぇ、ひろ君ー?」


「確かに!ごめんねひろ君!ひろ君が彼女萌花より他の子を優先するような人じゃないのに!」


わざとらしくそう言ってくる2人。

俺はとっくにバレていることを確信した。


「・・・・・・・・・・・見てませんでした申し訳ありませんでしたこの埋め合わせは致しますのでどうぞお許しください」


「そっか・・・楽しみにしてるねー!」


「わくわく・・・何してもらおっかな」


地面に跪いて土下座をする俺の頭上で2人がにこやかに会話する。

チラッと後ろを見ると、いるはずの沙也加がいなくなっていた。


・・・逃げたなアイツ。許せねぇ。


「ちょっとひろ君ー?本当に反省してるのー?」


「後ろなんか振り向いてどうしたの?また他の女の子探してるの?」


「・・・いえ、何でもございません」


俺は2人が満足するまで土下座で許しを請うた。

そして、 逃げた沙也加共犯を許すまじ、と胸に誓った。












2人と腕を組んでバカップルの様に歩く俺達+当然のようにいる沙也加。

祭りが終わりに近づき最後の演目である花火の打ち上げが始まるため、場所の確保のために俺たちは移動していた。


「えへへ!階段のところはどうかなー?」


「うんうん!そこで座って見よう!」


「花火楽しみだねー!」


「雲もないからバッチリ!」


俺の腕を両腕で強く抱いてテンションの高い2人。

・・・あの、いくら何でも近すぎませんかね・・・?俺これでも性徴迎えた男だから反応してしまうんですが。


ぐいぐいと腕を引っ張る2人。はぁ・・・可愛すぎて辛い。

・・・お前ら自分たちが美少女であることを自覚してる?こんなの我慢できるわけないし、好きになるに決まってるじゃんか・・・・・・・チートや。


だが、やるのは今ではない。

皆の視線が花火に向かったときだろう。


良さそうな場所があったのでそこに腰を下ろす。

床が石造りなので少しひんやりとするが、それがまた良い感じだった。


「えへへ・・好きだよひろ君」


「好き・・・」


「お、おう・・・」


俺に寄り掛かる2人がそう囁いてくる。

今この瞬間、世界で一番幸せなのは俺に違いない。


・・・ニヤニヤする周囲の視線が非常にウザったい。


だけど俺は遠慮するどころか見せつけてやることにした。

遠慮して恥ずかしがって逃げるくらいなら、周りが砂糖を吐いてうんざりしようが俺は欲望のままに行く。・・・・常識の範囲内で。


「俺も好きだよ・・・舞依、萌花」


「「ひろ君・・・!!」」


2人が切なそうな顔をしてこちらを見上げる。

綺麗な花が蝶を誘うような、そんな可愛らしい表情に俺は自然と顔を近づけていた。



ぴゅるーーーーーー


バーン!!!!!



夜空で色鮮やかな花火が打ちあがる。

俺は、こちらを見つめる舞依を見つめながらそっと唇を交わす。


「舞依・・・好きだよ・・・・これからもよろしくね」


「ひろ君・・・うん!私も大好きだよ!これからも仲良くしてね!」


舞依の頬に手を当てて2度、3度とキスをする。

鼻が触れ合う距離で俺たちはしばらく見つめ合った。


「・・・今日は、普通のキスなんだねー?なんだか久しぶりだねー」


「あ、そ、それは・・・その・・・」


ノーマルなキスに舞依がそう零す。

最近は、というよりも恋人同士になってからは、深い方のキスばかりしていた。

己の欲求に従って。


だけど、やり過ぎるのも良くないし、相手を大切に思うなら軽いキスで十分なんじゃないか。


俺はそう反省していた。


「・・ひろ君がしたいなら何時でもいいからね?」


「舞依・・・ありがとう」


「えへへ」


舞依の答えに俺って愛されてるな、と深く実感した。

軽く頭を撫でると嬉しそうな表情をする舞依。


・・・やっぱり俺は舞依が好きだなぁ。




だが、ここにいるのは舞依だけではない。

俺は舞依に申し訳なく思いながらも反対に座る萌花の方へ。


「萌花・・・・」


「ひろ君・・・」


こんな俺のことをずっと好きでいてくれた萌花。

これまでは舞依が一番だから、、、と友達以上恋人未満のような、なあなあな関係になっていた。


しかし、


「萌花・・好きだよ・・・・」


「ひろ君・・・!! 萌花もひろ君が好き・・・!」


萌花に手を添えてキスを交わす。


俺が好きなのは舞依だから・・・・そんな舞依が占めていた俺の心には・・・いつしか萌花が入り込んでいた。


数十秒経ってキスを終え顔を離す。


「・・・萌花・・・俺、萌花のことが・・・好きだ・・・・よかったら恋人になってほしい」


「・・・・・・!!グスッ・・はい!喜んで!」


感極まって嬉し涙を流す萌花。


こうして俺は、萌花と正式に恋人同士になった。











「・・・・私っ・・・そっか、そうだったんだっ・・・」


「私っ・・・裕哉が好きなんだっ・・・・」




――裕哉の知らぬところで、1人の少女が自身の感情に気付く。







★★★

あとがき


裕哉と萌花がついに恋人同士に。おめでとう!!


そして自身の想いを自覚した少女がいた・・・・い、いったい誰なんだ?!(すっとぼけ)








読了感謝です!

もしよければ☆☆☆をくれたら作者が喜びます!

また、コメント等もモチベーションが上がります!


今後ともよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る