5話 密室で美少女と


萌花の質問に、俺は一瞬言葉を失った。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったからだ。


「・・・え?えっと、いや・・・」


「――そっか、したんだね・・・」



予想外の萌花の問いに動揺を隠せずしどろもどろになってしまった。

唐突にこんなことを聞かれて冷静に返せるほど俺はこういったことに慣れていなかった。


「・・・あ、いや、ごめん、隠そうとしてたわけじゃないんだ」


「・・・・」



さっきまでの和気あいあいとしていた空気が一気に冷え込んだのを感じた。



「え、えっと・・まあ、うん、したよ」


「・・・」


「・・・萌花?」


どうせバレてるのだからと告白するも、俯いたまま微動だにしない萌花。

室内には気まずい雰囲気が広がっていた。


これまでは、恋愛方向で気まずい雰囲気になった場合には話題を逸らしたりしてなあなあで済ませていたようだ。


しかし、完全な奇襲と2人がやっとのこの狭い空間であるのが相乗効果を発揮してしまい、無理そうだった。



・・・何故昔の俺が萌花に対してなあなあに済ませていたか。好きな人が別にいるなら振ってしまえばいいじゃないか。その答えは、非常にクズい考えだけど、


―― ”俺を好きになってくれる子を失いたくない”



からだ。



別に舞依と上手くいかなかったら萌花を選ぼうとか考えていたわけではないのだが、かと言って手放すことはしたくなかった。



・・・・やられる側からすればたまったものではないだろうけど。



一応言い訳させてもらうと、下手にアクションを起こすと3人の関係性にひびが入ってしまうと恐れていたのだと思う。


舞依が好きだったけど萌花が嫌いだったわけではなかったのだから。



・・・だがそれも今となっては昔の話。

俺はなるべく誠実に対応をするべきなのだろう。少し悔しいが。



「・・・萌花・・・えっと、あのさ」


「・・・」



呼びかけたはいいものの言葉が見つからない。

どうしようか、、、俺がそう悩んでいると



「・・・・・萌花、やっぱり、ひろ君が、好きっ!諦めたくない!」


堪えていたものが一気に決壊したように、そう萌花が叫びだした。



「本当はひろ君が舞依ちゃんのことが好きなのは、分かってた!」


「舞依ちゃんに向ける目が他の子とは違ってすごく優しそうだったもん!」


「それに、舞依ちゃんがひろ君のことが好きなのも!同じ女の子からすれば丸わかりだった!」


「でも、それでも・・・・萌花はひろ君のことが好き!大好き!」


泣きじゃくりながら駄々っ子の様に声をあげる萌花。

俺は内心驚いたものの、なるべく落ち着かせるように、優しく背中を撫でる。



「萌花・・・でも俺には・・・!」


「それでも好きなの!!」



萌花は強引に俺の顔に手を伸ばすと、そのままキスをした。


「「・・・んっ」」


数秒間触れ合った後、顔を離す。

本当なら直ぐに抵抗するべきだったんだけど・・・・萌花の顔を見ると、俺にはできなかった。


目を開けるとそこには、顔を真っ赤にして涙目で目が赤く腫れているけど、それでも好きな人と結ばれて嬉しくてしょうがない、という顔をした萌花がいた。


「ん?!」


「「・・・んっんっ・・・ぷはぁ」」


続けて萌花は遠慮なく舌を入れた。


最近の小学生はここまでするのか?!と特大ブーメランをかましながら驚愕した俺だったが、普段萌花が俺のストーキングをしていることを思い出して納得した。


俺と舞依の好意を見ていたのだろう。

いや、だからといって臆することなく再現するのは凄い

けども。


想いをぶつけた後というシチュエーションの萌花。そして恋人がいるのに他の女の子とするという背徳感に浸る俺。


「はぁはぁ・・・ひろ君っ」


「はぁはぁ・・・萌花・・・」


あまりの快楽に白旗をあげて夢中で貪り合ってしまい、顔を離した後にはお互いの口の周りがベトベトになっていた。


普通なら行為後に気になるものだろうが、相手が美少女なので気にならない。

むしろ、萌花の喉に垂れる唾液の線が俺を余計に興奮させる。



自制の効かない小学生にこの快楽は強すぎた。

今さっきやり終えたはずなのに、ふつふつと欲求が湧き上がってくる。


なんちゃって小学生の俺でもこうなんだから、リアル小学生でしかも相手は好きな人、そして男子よりも成長が早い女の子なら・・・・



自然と話した唇をもう一度・・・と触れ合いそうになった、直後。


近くから舞依の声と共に入り口を開けようとする物音が聞こえてきた。


「!?」


「ほ、萌花?!いったん離れよう?!」


舞依に見つかると思った俺が離れるように萌花を急かす。

しかし、



「・・・もうちょっと」


「ちょ、マズいって!」



萌花は不満そうな顔をするだけで決して離れようとしなかった。


いや、確かにもっとしたいという気持ちはあるにはあるんだけど・・・その、ね?わかるでしょ?!



「わ、わかったよ!後で埋め合わせするから!一旦離れよう!」


「むぅ・・・わかった」



そう言って渋々俺から離れる萌花。

まるで妻に浮気がばれそうになった夫みたいな言動だな、俺。


・・・いやその通りなんだけどさ。


離れてから互いに身だしなみを整える。



・・・さて、舞依になんて言い訳しようか。



「――あ!やっと見つけた!木箱の中なんて反則だよ!」


しばらくしてから、プンプン!といった様子の舞依が抗議するように叫ぶ。


その場をどうやって乗り越えたかは覚えていない。

会話は萌花に任せて、俺は気配を極限まで消して過ごした。



その後、俺たちは何事もなかったかのように遊び始めた。遊び始める前は舞依のことを目で追ってしまっていたのに、今は萌花の方を追っていた。


――これだから下半身に脳みそがあるオスさんは。

俺の脳内で、前世でよく言われていた言葉が再生された。


こ、これって俺が悪いの・・・?



途中舞依と萌花が一瞬いなくなった時があったような気がしたけど、もしかしてばれたか?


いやでもそれなら俺に直接聞けばいいしな・・・・・・うん、気にしすぎか。そうに決まっている。



結局、遊んでいる途中ばれないか冷や冷やしたものの、何事もなく俺たちは解散し家に戻った。







翌日。


「お、おはよう!」


「「ひろ君、おはよう!」」


登校しようと家を出ると、そこには、にこにこ笑顔の2人がいた。


・・・え?


聞くところによると、どうやらこれから萌花も一緒に登下校するらしい。

俺一言も聞いていないんですがそれは。


外から見ればこの状況は両手に花っていうやつか。


いや、呑気のそんなことを考えている場合じゃないだろう俺。まだ萌花とのことを舞依に言えてないんだけど・・・



それに、どことなく周囲の空気が重い気がする。

何と言うか、プレッシャーを感じる。


この光景にBGMを付けるなら「ごぉぉおおお」って感じ(小並感)。


な、なかったことにしよう。そうしよう。



「じゃあ二人とも、そろそろ行こうか!」


「そうだねひろ君!」


「行こっか!ひろ君!」


俺の真ん中に左に萌花、右に舞依の3人で歩き出す。

・・・・右わき腹が抓られて痛い。あぁ・・・これは・・・・


「どうしたのー?ひろ君♪」


「あ、いや、何でもない・・です、舞依さん」




バレてますねぇ・・・








★★★

あとがき


※周囲は他に騒音など皆無。当然萌花の告白は舞依には丸聞こえであり、その後の行為も目撃した。主人公は気付かなかったが、入口の方に向いていた萌花は舞依と視線が交差した。


 →お互いに何を思ったんだろう・・・私、気になります!



※主人公は、朝と夕に別の美少女と舌を絡め合った。


 →けしからん男だ。本当に。



※途中で舞依と萌花の2人は一緒にどこかに行ったみたい。


 →2人って仲良かったんだね!






読了感謝です!

もしよければ☆☆☆をくれたら作者が喜びます!

また、コメント等もモチベーションが上がります!


今後ともよろしくお願いします!






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