第9話

「おいっ、俺らの列次だぞ!」


「えっ?あ!」


追い立てられるように立ち上がりスタートラインに近づく。


後ろを見れば、野球部の青木がものすごいスピードで追い上げてくる。


スタートは4位だったのに2人抜いたよ!


緊張感が最高潮に達する。


少しずつ走り始め、後手にバトンを叩くように置かれたのを感じた瞬間スピードを上げた。


「田端!行っけー!」


背中に応援の声を受け、無我夢中で走った。


前には赤のハチマキがたなびいている。


あれを抜かないと!


コーナーで少し縮まった距離。でも結局抜けないまま次の走者へバトンを手渡した。


ハッハッと息を吐きながら、走り終えた人達が待つ場所へ向かおうとした刹那、背中に衝撃を感じて前のめりに転がってしまった。


誰かの足が絡まったと理解したけど地面に打ち付けた膝が痛くて直ぐに起き上がれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る