第10話
視界の端で、百田の姿が見えた。
不自然に下がった姿勢から手を伸ばしてバトンを次の走者に渡す百田。
なにが起こったのか分からない状態から、地面に這いつくばる自分を理解して立ち上がろうとする。
直後、肘を掴まれて引き上げられる。
ふわっと身体が持ち上げられて、見上げた視界には百田の顔。
「……」
無言で私を起こして立ち上がった私を一瞥して先へ行く百田の背中。
あ、起こしてくれたんだ。
打ち付けた膝についた砂を払うと、じわりと血が滲んでいた。
よたよたと列へ戻ると隣の女子が心配そうに声をかけてくれた。
「わ、それ救護のところに行ったほうがいいよー?」
「あ、うん」
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