第3話

ハマってはいるけれど、この場所の主ではない。


だって、うちの養護教諭は梨花先生って女性の筈だし。



山田くんに掛布を掛けて、ようやく私の所に近付いてきた彼から、一歩後退った。



「今朝、職員会議でご挨拶させていただいたんですが……」



丁寧な口調は好感を持てた。



その穏やかな笑顔も、若干嘘っぽい気もするけど生徒を気遣う表情は本当に心配しているのが分かった。



「産休に入られた養護教諭の先生の代わりに、今日からこちらでお世話になる塩谷(しおたに)と言います」



産休代理……。



丁寧に説明されて、ハッとした。



そうだった。



梨花先生は先週から産休に入ってたんだ。



すっかり忘れてた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る