第34話

そんな私の両腕を、優しくて大きな手が止めた。



「雛…」



「…っく、」



「雛、聞いて?」



「…ひっ…く、」



返事をしたいのに、しゃくりあげる声が止まらない。



「違う。」



「…違…う?」



やっとまともな言葉が出てきた。



「雛、俺は雛のことが好きだよ」



一つ一つの言葉を丁寧に紡ぐように、彼は言った。



「…嘘…」



「嘘じゃない。」



「…ほんとに?」



「本当に」



私の言葉を一つ一つ拾って、肯定して返してくれた。

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