第32話

わざとじゃないけど、彼には嫌味のように聞こえてしまっただろうか?



そんな私の懸念に気付く様子もなく、成くんは言葉を続けた。



「マネージャーはいつもああなんだ。ふざけてるっていうか、すぐ可愛いとか言って、俺だけじゃなくて

他のヤツにも軽い気持ちでしてくるんだよ」



確かに『可愛い』と言っていた。まるで犬かネコに言うみたいに。



いつもより高いテンションで必死に喋る成くん。



だから、きっと彼の言う言葉に嘘はないんだろうなと思った。



だから思い切って聞いてみた。



「相談…って?」



私が一番ショックだったのは、



ずっと我慢されてた事。



それを隠し続けていた事。



私が問いかけた言葉に、成くんが息をのむのが分かった。



今日話す中で、一番触れられたくない部分だったんだろうって分かった。



でも、困らせているのが分かるけど、それでも聞きたかった。









「成くんはずっと…我慢してたの?」

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