six

第31話

「もう俺とは話すのもイヤなんじゃないかと思った」



放課後の教室で。



窓際の後ろの席を2つ占領して、私たちは向かい合う形で座ったものの、



お互いの顔をまっすぐ見られないままだった。



「そんなこと…」



ないとはっきり言い切れない自分が、すごくイヤだ。



「それでも、誤解だけは解いておきたい」

 


真剣な響きに、私はそっと彼を見たけれど目が合って慌ててそらしてしまった。



ダメじゃん。目をそらすなんて。



まっすぐ成くんを、好きな人を見られないなんて。



「雛。あの日は本当に部長と話をするはずだったんだ。」



「……」



「でも、部長インフルエンザになっちゃって。でも俺が相談があるって言ってたから…『加奈子と話したほうがいいかもな』ってわざわざ連絡してくれてたんだ」




加奈子…あのマネージャーさんのことかな。



「マネージャーって部長の彼女だから」



一生懸命説明してくれる成くんの言葉を私も頑張って聞いていた。



「部長さんの彼女とキスしたの?」

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