第28話

そう考えたら、体がもっと震えてきた。



額からジワリ汗が浮いて、胸やけみたいな痛みと、吐き気が襲ってきた。



ホームルームが終わる頃、私の顔色が悪いと気づいたのは新谷くんで、



担任の指示もあって彼が私を保健室まで連れて行ってくれた。



「まだ熱下がってねぇんじゃねえの?」



ベッドに横になった私に珍しく不安げに聞いてきた新谷くんに、首を左右に振って答えた。



「大丈夫、熱は4-5日前には下がってるの」



「そっか、とにかく静かに寝てろよ」



本当にあの新谷くんなのかと耳を疑いたくなるくらい、優しい言葉が彼の口から紡がれる。



胸の痛みと吐き気がなかったら、『ありえなくて気持ち悪い』と言ってやりたいほどだった。



「そのうち保健医も帰ってくんだろ」



「…分かっ…た…」



新谷くんの言葉に答え終える頃には目を閉じて、意識を失うように眠りに入っていった。

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