第22話

どうやって家まで帰ったのか覚えていない。



気付いたら、自分の部屋のベッドでうつ伏せになって眠っていた。



目が覚めたとき、机の上の目覚まし時計は深夜3時を示していた。



人間本当にショックな事があった時は、案外冷静になれるんだな。



ぼんやりとそう思った。



だって今の今まで眠れてたし、



私…泣いてもいない。



すごくすごくショックだったのに。



あんなにショックな事って今まで経験した事がない位、ただショックだったのに。




泣きたいくらいショックだったのに。



でも。



なにがショックだったんだろう。



彼が私じゃない女の子と二人きりでいたこと?



彼と彼女がキスをしたこと?



それとも…。




彼と彼女の会話が耳に焼き付いて離れない。



『よく我慢してたよね』



『我慢ってわけでもないけど』



『真面目そうっていうか、固そうだもんね』



我慢させてた。



私はずっと成くんに我慢させてたんだ。



それを彼はずっと私に言わずに黙って、隠して…



そしてそのことを私じゃない彼女に相談したんだ。

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