four

第19話

教室から旧校舎裏の体育倉庫まで、全力疾走した私はその扉の前に着いた途端、

嘘みたいに固まってしまった。




ぼんやりと扉の隙間から漏れ出ている薄暗い明かり。



中から聞こえてくるのは、女子の笑い声と



聞きなれた彼の声。




引き戸に手を当てて、思い切り開けてしまえばいい。



そうすれば、分かる。



今、この中でなにが起こっているのか。



私じゃない女子と、楽しそうに笑っている彼の姿が見える。



きっと、ただ話をしているだけ。



二人じゃないと話せないこと。この場所じゃないとダメな事。



ちゃんと理由を彼は聞かせてくれるはず。



だって、成くんが私を裏切ることなんてするはずない。



だって、もうすぐ1周年の記念日で一緒にお祝いしようって。



一緒に過ごそうって、照れながら言ってくれたのは

つい昨日のこと。

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