第18話

「ひよこ、教えてやろうか?あの体育倉庫が今何に使われているか」



聞きたくなかった。ここからすぐにでも離れたかった。



それなのに、足が動かなかった。



小さな、種みたいな疑惑が私の胸の中に生まれた。



「あの体育倉庫、Hするには最適の場所なんだぜ」



ククッといやらしく笑う新谷くんの声が耳元で囁かれた。



吐きそう。



目の前がグラリと揺れて、倒れそうになった。



それでも机の角を掴んで、必死で堪えた。



この人の前でこれ以上弱い自分を見せたくなかった。



フラフラと左右に揺れる身体を自覚しながら、教室の出口へ向かう。



「一緒に体育倉庫に行ってやろうか?」



語尾に笑いを含ませている。



「新谷くんには関係ない!」




怒鳴るように言って、教室を飛び出した。



新谷くんの言う事なんて無視して、そのまま帰ればよかったんだ。







体育倉庫になんて、行かなければよかったんだ。

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