第17話
「あんなトコなにしにいくのよ」
来客って?
「お前本当に知らねえのな?」
呆れたように呟かれて、気分悪い。
この人の、人を見下したような態度は本当に腹立たしい。
「知らない。普段行くことないし」
話を続けるのも不快だったけれど、正直彼がさっき言った言葉がずっと気になっていた。
『大木が体育倉庫に入っていくのを見かけた』と新谷くんは言った。
成くんは、部活の後部長に呼ばれてると言っていたから、きっとそこには部長もいたはずで。
新谷くんには見えなかっただけなんだろうと思っていた。
「部長に呼ばれてるって言ってたから、きっと用事でもあるんでしょ」
「は?部長って、サッカー部の?」
当然でしょ。
「でも、轟(トドロキ)さんインフルエンザで今日から休みの筈だけど…」
え?
…そう思った瞬間、慌てて新谷くんに背中を向けた。
動揺したのを知られたくなかったから。
けれど遅かった。
「…なに?もしかして、大木に嘘つかれてたりして?」
面白そうな話を聞いたとばかりに、興味津々な様子で近付いてきて私の顔を覗き込む。
無神経で、無遠慮で、人を平気で傷つけることばかり言う彼に弱みを見せたみたいで悔しい。
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