第15話
放課後、いつもの癖で教室で本をよんでいた私はふと壁に掛けてある時計を見て下校時刻から
随分経っている事に気付いた。
今日は成くんを待たなくてよかったんだった。
昼休みの成くんの言葉を思い出した。
習慣って怖い。
早く帰らないと。
この時期日が落ちるのは夏のそれよりずっと早い。
暗くなって一人で帰せないから、早く帰れよ?と成くんから念を押されていたんだった。
「あれ、ひよこいたんだ」
本を鞄にしまい、立ち上がったところで教室の扉が開いて、顔を見せたのは
新谷くんだった。
『げっ』
その時の正直な気持ちは、心の中で呟いた。
けれど、表情までは気が回らなかった。
「あからさまに嫌そうな顔するなよな」
新谷くんが不機嫌な表情で教室に入ってくる。
「べつに、してないよ。嫌な顔なんて…」
「いや、してたね」
自分の机の上の鞄を肩に担いでから、私を見てチクリ言い放つ。
思わず溜息が出た。
これ以上突っ込まれないように、さっさと帰るに限る。
後ろの扉から出ようとしたところで新谷くんに呼び止められた。
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