第14話
「雛、今日ちょっと用事があるから、先に帰ってくれる?」
昼休み、二人で一緒にお弁当を食べ終えた後、成くんが徐に口を開く。
「待ってるよ?いつもみたいに教室で」
いつもサッカー部が終わるのを教室で本を読んだり、梨香達とおしゃべりをしながら待っているのが
当たり前だったから、どうして彼がそういうのか分からなかった。
お互いが学校に来ている日で、一緒に帰らない日はなかったこの1年間。
朝が苦手な私は、朝練にいく彼に合わせて一緒に登校する事が出来なかったからせめて帰りくらいは一緒にいたかったから。
「いや、部活の後部長に呼ばれてて。…長引きそうだから」
少し違和感を感じた。
彼の奥歯になにか挟まっているような言い方に。
でも。
変に勘ぐりたくはなかった。
だって、大事な記念日の前なんだから。
喧嘩しちゃったら最悪だ。
「ん、分かった。先に帰るね」
そう返事をした。
だから、先に帰るつもりだった。
……あんな事があるまでは。
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