第11話

あれ?そんなに悩むこと?



私はいつも即決。



成くんとあんなことも、こんなこともしたいって、考えてばかりいるから悩んだ事ない。



成くんは、私と行きたいところとか、したいこととかないのかな?



「んー、考えとく」



結局答えがでなかったみたいで、そう言いながら席に戻ってしまった。



まあ。急に言われても悩んじゃうもんだよね。



「バカだなぁ、ひよこは」



不意に左隣から、低くからかうような声音が響いた。



「新谷くん?」



いきなりバカだと言われて、カチンときた。



この左隣の席の新谷 博(シンタニ ヒロシ)という男子は、博という名前とは異なり、頭も性格も軽そうな人。



左耳たぶに開いた3個のピアスが更に軽薄そうに光ってる。



苦手な人だ。



「どういう意味よ」



私よりは絶対成績の悪い彼に、バカだと言われたまま引き下がれない。

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