第3話
「そっか、もう1年経つんだっけね?」
顔を上げ、ダッフルコートのポケットに突っ込んだままだった手を出して1と指で示した。
疑問系の返事にザワザワと心が騒ぐ。
記念日忘れてるのかな?
「そ、だよ?成くんの彼女になってもうすぐ1年経つんだよ」
「早いね。あっという間だ」
「そーだね」
そうだよ。あっという間だったけど、私の中にその『あっという間』の成くんとの思い出は今でもちゃんと全部思い出せるよ?
成くんは違うのかな?
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