第3話

自宅から自転車で10分程度。



7時30分の電車に20分揺られて駅から高校迄は徒歩15分程度。


私が乗る電車はその線の始発だし、駅から乗り込む人もそれほど多くなかったから、ゆっくり座席に座ることが出来たし、大好きな本を読むことも出来た。


しかし夏盛りになると、各駅停車で停まる電車は駅ごとに人と熱気を運び入れる。



それが少し苦痛だった。



自分が乗る駅から2つ先の駅近くには、15階建てのマンションが、10年前に立て続けに2箇所建ち、若い世代の親達が挙ってマンションを購入した。



その頃幼少だった子供たちが、今高校生となり、彼ら彼女らが通学に使う電車がこの線には1つしかないことで、必然的にこの駅からの乗車率は多くなる。


まあ、自分は優に席に座っているのだから、なんら苦はないだろうと言われそうだが、何故かこの駅から乗車する男子の比率が圧倒的に多いためこの年齢特有の男子の臭いに夏場は悩まされた。



だからひたすら無心を装うために、私が編み出した秘技は『本を読むこと』



20分間周りを気にする事なく、ひたすら本に没頭する。これが意外に有効で自分に一番あっていた。



最近のお気に入りは、ライトノベル。



携帯でも読めるけれど、私は本を購入する。



無駄に電磁波を浴びるのを妨げたくもあったし、単純に紙の匂いが好きだという理由もあった。



自分で作ったブックカバーに入れた本を通学鞄に1冊は常備。


1冊の読破時間は4-5時間程度だから、週に1回は必ず本屋や古本屋を回っていた。

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