第17話

「多分、あと2週間位かな」



「2週間?」



思わず大きな声をあげてしまった。



だって、2週間なんてあっという間じゃない。



「羽田先輩の指、調子いいみたいだからね。コンクール前に勘を取り戻しておきたいだろうし、来週位には練習にも出られるんじゃない?」



東条さんの話を聞きながら、胸にまた鉛が落ちる。



さすが、羽田先生の事よく分かってるんですね。



そう言ってやりたいのに、言えない。



言いたくないとも思う。



あと少ししかそばにいられないなら、尚更。



彼の記憶に残る自分は、笑顔でいたい。



「……寂しくなる、ね」



鍵盤を指で叩きながら、



ぽつり、落とした独り言。



聞こえなくっても構わなかった。

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