第38話

「桜色のベールか、




いいんじゃないか?




咲良に似合ってる」







鏡の前に座る私に、




それは鏡越しに響いた彼の声。



白いタキシードに身を包み、優しく微笑む男性(ひと)。




「そう、かな?」




そうだといいな。




あの日、風馬が掛けてくれた桜の花弁のベール。




あの時に決めたんだ。




いつか、ベールを纏う日が来たら……




こんな淡い桜色がいいって。








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