第5話

「誰?」



息巻き、晶に詰め寄ったのは萌香。



だけど、皆お年頃。



萌香程には食い付けなくても、人の色恋沙汰には敏感なんだ。



「隣のクラスの早稲(わせ)くん」



スマホを取り出し画面をタップさせて、晶が見せてくれたのは、早稲 広大(わせ こうだい)のアドレス一式。



両親が共働きの彼女は早くから、親との連絡手段を用途としてスマホを持っている。



勿論アドレスの中は、親以外の連絡先がわらわらと湧いてくる。



女子だけじゃなく、同級生だけじゃなく。




多分私達のグループの中で、一番顔が広いと思う。




萌香も友人は多いけど、背伸びせずに気楽に付き合える同級生が主。




友人の種類が違う。



「早稲くんって、テニス部の1年生と付き合ってなかった?」




萌香の言葉に「先週別れたんだって」と、アッサリ返す晶。

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