第3話

今年、夏祭りを2週間後に控えた7月半ば。



同クラの友人達と、話す話題の一つに夏祭りがあった。



中学3年にもなれば、高校受験が目の前。



遊んでばかりもいられないのが実情。



それでも、夏祭り位はと皆で出掛けることを話していた放課後の教室。



ミンミンと鳴く蝉の声が、湿度の高い教室の窓を全開にした途端倍増した。




「暑い!煩い!」



机の上に座って女子からぬ悲鳴を上げた萌香

(もえか)、棚橋 萌香(たなはし)に賛同したのは、その場にいた彼女を含む4人。



萌香が座る机の前の椅子に腰掛けていた、ゆるふわウェーブの茶髪を肩の辺りで揺らす花宮 晶(はなみや あきら)と、



開け放した窓から僅かに流れ込む風にゆっくりと息を吸う幼い容貌の遠野 千波(とおの ちなみ)と、




私、取り立てて挙げるべき特徴のない平凡な女子中学生の市村 まこと(いちむら)。

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