第42話

「いい加減にするのは、そっち」



ショルダーの紐を後ろに引っ張られてつんのめった。



「ちょっ、なにする……」



振り返れば至近距離に、伊吹の顔。


ぎゃっ、


思わず声を上げて、後ろへ身体を逸らした。



「人の顔見て悲鳴あげるとか、失礼だな。オイ」



「だっ、だって顔近過ぎだもんっ。そんなの慣れてないし、ビックリして当然……」



言ってるそばから顔近づけてくる伊吹の肩を、両手でつっかえ棒にして離れる。



「慣れろよ」



「な、慣れるわけない……ってか、こんな所見られたら誤解され……⁈」

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