第39話

「大丈夫っ、ごめん。

……感動してたの!


つい最近迄女子に『近づくな!』ってオーラバリバリだったくせに。


いつの間にか普通に会話して、普通に……デートしてるんだもん。


驚いたって仕方ないでしょ」



目尻に浮かんだ滴を袖口でそっと拭って、伊吹に精一杯の笑顔を向けた。



「お前が言ったんじゃん」



「え、?」



「お前が偉そうに、俺に説教したんだろ?


そのままでいいって。


作りものの俺なんか誰も見たくない。


だからって、壁をつくる俺も見たくないって。


それで一期一会諭して、言い逃げしたの覚えてねぇの?」



「言い逃げだなんて」



「俺だって今のままじゃダメだって気付いたよ。だけど周囲の反応にうんざりしてた。皆が皆嫌な奴じゃないのに、俺勝手に決めつけて、壁作ってたよな……」



「伊吹……くん?」

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