第37話

「ゴメンね……」



「別に、仕方ないだろ。急に具合悪くなったんだから……もう大丈夫なのか?」



頷くと伊吹はホッとした顔をした。


迷惑かけたけど、心配してくれたことが嬉しいなんて。


伊吹に言ったらきっと怒られちゃうね。



「あ、楓や樋野さんは?」



目が覚めてから今迄一度も2人の姿を見ていない。



「とっくに、クリパの会場に向かったよ」



「え?置いてかれちゃったの?」



まさかの思いに、伊吹はさらりとこともなげに告げる。



「参加資格、独り身って条件だったろ。資格ねーもん」



「資格がない……」



って事はつまり……。


彼女が出来たって事なんだ。


相手は……樋野さんだよね。


本人からハッキリ言われると、逆に潔く諦めなきゃって気になる……わけない。

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