第36話
「なんで?」
開口一番に私が零した言葉を、一番納得できないのは目の前で不機嫌に頬を歪める彼だろう。
何故かショッピングモールの医務室のベッドに寝かされていて、あろうことかその隣に伊吹がパイプ椅子に座って私を見下ろしている……この状況に、冒頭のセリフは仕方ないんじゃないだろうか?
「なんでって事はないだろ?」
不機嫌な表情のまま、大まかな成り行きを話してくれた伊吹。
「伊吹くんが、運んでくれたの?」
「仕方ねーだろ?あんな風に……」
ゴニョゴニョと尻窄みな言葉の意味は理解できず、首を傾げる私に、
「なんでもねーよ」って真っ赤になって怒る伊吹を見て凄く不安になった。
とにかく、伊吹に迷惑かけたことに間違いはないんだ。
折角のデート邪魔しちゃったし。
デートって考えたら、また胸が痛くなってきた。
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