第34話

遂には女子とデート迄しちゃうんですか。


私自身が偉そうに彼に言ったのだ。


人と人との出会いの大切さを。


そんな私が彼の成長を寂しいと思ってはダメだ。



「じゃあ、伊吹はクリパ来ないかもねー」



残念、と呟いた楓の言葉に、心臓がぎゅうっと掴まれた気がした。


一瞬息が出来なくなって、苦しさに胸の辺りの服を掴んで蹲った。


苦しい。


苦しいよ、


胸が痛くて、苦しくて仕方ない。


伊吹がクリパに来ないと言うことは、伊吹がカップルになって参加資格を失ったということだ。


それが分かって、凄く苦しかった。


こんなに苦しいのは初めて。


息するのが辛くて、短く吐く様にしか呼吸できない。


「ちょ、妃奈?」


急に蹲った私に驚いた楓の声が頭上で、煩い位に響いている。

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