第33話

デートなんじゃない?


……なんて自分が言ったその言葉に落ち込んだ。


私が望んだ、伊吹の変化。


それは、伊吹から距離を置いていた周囲の女子との関係だ。


いつも不機嫌そうに女子との関わりを避けていた彼が、あの日の翌日教室で自分から女子に挨拶する姿を見た。


驚きのあまり言葉を失う女子の皆も、1日、2日と日を重ねる毎に徐々に慣れてきた様で、以前の様に黄色い歓声を上げ始めたけれど、伊吹はキッパリとそれに対して自分の気持ちを言葉にしていた。



『騒がれるのは苦手だからやめて欲しい』



口にしたことで、意外にもその願いはスムーズに聞き入れられた。


折角挨拶を交わせる様になったのに、またあの不機嫌な伊吹に戻られては困ると皆が思ったからだろう。


相変わらず、男子と過ごすことが多かった伊吹もたまに女子に話しかけているのを見るし、楽しそうにあのエンジェルスマイルを披露しているから、一部の男子から嫉妬の声が上がるのは仕方ない話。

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