第31話

私達はランチを済ませて、楓の頼みで有村に渡すプレゼントを選びにショッピングモールを目指した。



「楓の潔さ、小林に見習わせたいよ」



ものの5分で、有村へのプレゼントを決めてしまった楓。


ラッピングされていく、深緑の手編み風のマフラーは有村が好きだと言うブランドのロゴが入っていた。


似合う気がした。


なにより、好きな人へのプレゼントを選ぶ楓が凄く可愛かった。


好きな人へのプレゼント……か。


好きな人と考えた時、今の私が思い浮かべるのはやっぱり伊吹だ。


だけどあの日以来、伊吹とは同じクラスにいても目が合うことはなかった。


私が合わない様にしていたから。


その代わり彼に少し変化が見られた。


その変化は、私が望んでいたもので……だけど、私にとっては切ない変化でもあった。

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