第27話

「それより、この前途中だった話聞いてよー」



女の子しか入らなさそうな、ファンシーな喫茶店の中。


2人分のシーフードのパスタを注文したあと、楓がハイテンションで話しかけてくる。



「途中……?」



「我が2年3組で生まれる、残り1組のカップル」



「あぁ、楓が話してたカップル……ってか、私と小林は違うからねっ!」



「あぁ、まぁそれは置いといて」



……置かないでよね。



そう言いたいんだけど、楓のテンションを考えると先に聞いた方が良さそうだ。


早速運ばれてきたシーフードパスタをフォークに絡ませながら黙って楓の言葉を待った。



「私と、翔大(しょうた)」



楓の言葉に、一瞬フォークが止まる。



「……ひゃれ(誰)と、ひゃれらって?」


口の中で、海老やイカが咀嚼を待っているだろうけど、私の口は動かない。

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