第23話

「ねぇ、伊吹くんって楓の事好きなの?」



小林のコートの袖を掴んだままだった私は、彼をグイッと引き寄せた。


いきなり引いた事で、身長差がほとんどない私達は鼻先が触れ合う位迄近付く。



「…………⁈」



「ねぇ、どうなの?」



詰め寄る私を、真っ赤な顔をして押し退けた小林が怒った様に声を上げる。



「ばっ、馬鹿やろ、いきなりなにすんだよ⁈」



「そんなに怒らなくても……ちょっと勢いがつきすぎただけじゃない」



小林が本気で怒るのが珍しくて、熱が冷めた。



「別に怒ってないし。てか、なに?誰が誰を好きだって?」

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