第16話
「めぼしい物、見つかった?」
雑貨屋を覗いていた私達は、別れてそれぞれがプレを探して回り、ウケ狙いのプレを早々に決めた小林と、女子向けだろうと文句を言う小林を無視して決めた可愛らしいハンカチを持って伊吹に近づいた。
「あぁ、これにした」
差し出されたのは、小さなスノードーム。
ウケ狙いの小林とは天地の差のプレゼントだ。
三角錐のガラスの中に青や縦縞の魚が泳ぐ小さなアクアリウム。
「キレイ……見せて?」
思わず零れて、伊吹の手からそれを受け取り軽く振った。
水中を白い雪が舞う。
「いいね、コレ」
伊吹の手にそれを返し、同じ物が欲しくて辺りを探した。
「申し訳ありません。この形は売切れてしまって」
店員さんに頭を下げられて慌てて「大丈夫です」と笑顔を向けた。
「あー言うの好きなのかよ」
意外そうに小林が言うから、なんだか失礼な話だと憤慨すると小林は「柄じゃないな」と、さらに宣った。
本当に、失礼な奴。
だって、凄くキレイだったし、小さくて可愛かったんだもん。
伊吹はちゃっかりそれを購入したみたいだ。
いーなー。他の店で同じ物を探してみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます