第15話

「ふうん、じゃあ俺も行く」



伊吹がそう言った事は、私だけじゃなくて小林の事も驚かせたようだった。



「へ?いいのかよ伊吹……妃奈いんぞ?」



「別に?なにか問題ある?」



そう返されれば否定するのもおかしい話だ。



「いや、いいけど……妃奈は?」



ここで私が否定したら、デートを邪魔されたくないと誤解されるじゃないの!



「別にいいよ」



私が頷いた事で、3人で買い物に行くことになってしまった。


このメンバー凄く違和感ある。


普段小林相手なら、1mmも意識しない自分のカッコが密かに気になって、ショッピングモールに着くなりトイレに駆け込んだ。


髪にブラシを通して、わざとらしくない程度にリップを引いた。


鏡に映る自分が酷くテンパっていて、凄く居心地悪い。



「妃奈おせぇし」



愚痴る小林とは違い、伊吹は踵を返して先を促す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る