第4話

伊吹 蓮也(いぶき れんや)。

高校で同じクラスになるのは初めてだったけど、噂話の多さは同学年でも右に出るものはいない。


高校の入学式。壇上で挨拶をした伊吹はその場にいた女達を魅了した。


女、と言ったのは生徒だけじゃなく、教師も含めた全てだから。


日本人離れした彫りの深い容姿。


モデルでも通用しそうなバランスのいい体躯。


一度聞いたら忘れられない。脳髄に沁みる低めの静かな声。


そんな彼にある噂だから、どんなものか想像は簡単に出来……る範疇を超えていた。


勿体無いという言葉に尽きる。


そんな外見なら、愛想さえよければどんな女性も選り取り見取り。


楽しい高校生活を、送れるのに。


…….勿体無い。


伊吹に『愛想』というものがあったなら……。

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