第3話

「妃奈(ひな)は出るの?クリパ」



「当然独り身なんで、暇潰しに。楓は?」



「出る。だって、初めて幹事しなくていいから純粋に楽しむよ」



「そっか……まぁ、独り身限定だけど、見飽きた面々だしなぁ。今更カップル誕生とかあんのかね?」



正直、イベントも今回で5回目。4組のカップル誕生は十分な成果じゃないだろうか?《成功率高目の合コン》としては。



「いやいや、まだまだ。クラスであと3組は出来るね!」



「なに、それ?」



意味深な彼女の言葉に問いかければ、楓は手招きをして私を近くに呼んだ。


彼女の息が、耳朶に触れて擽ったい。



「伊吹(いぶき)、好きな奴がいるらしいって噂だもん」



「えっ?」



伊吹の名前に僅かに鼓動のリズムが崩れた。


勘のいい楓にバレやしないかヒヤヒヤしたけど、幸いなことに彼女は伊吹の相手を思案している様子で私の変化には気付かなかった。

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