第12話

夏の終わりの海へ連れてきてくれた優也は、浜辺で子供みたいに一生懸命砂の城……らしきものを作っていた。



そんな彼を波打ち際でボンヤリと見ていた私は、後ろから大きな波が来たことに気付かず、足を取られ転びかけた。



「……てまりっ、」



優也の腕が伸びてきて、それでも濡れた砂に埋もれてしまった足が重く、二人波打ち際で倒れこんでしまった。




「大丈夫かっ?」



海水と砂でドロドロの私は呆然として……そして目の前に見えた波にさらわれ崩れた砂の城を見てボンヤリと言葉を落とした。



「砂の城って脆いのね。


……まるで先輩と私の関係みたい」



ベチャベチャの顔が、さらに涙で酷い顔になっていく。



優也はそんな私を抱き抱えて車まで運んでくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る