第11話

「てまり、ドライブに行こう」



優也に強引に連れ出されたのは、私が大学を休んで家に閉じ篭って1ヶ月が過ぎた頃だった。



優也は私が彼の告白を断ってからは、友人という立ち位置のまま私の傍にずっといてくれた。



その名が示す通り、優しい人だ。



彼の優しさに甘えて、友人としては少し甘い私への態度を受け入れると、それはまるで麻薬のように虜になる危険を孕んでいた。



それを彼に言うと、



「いいね、それ。


……そうやって俺なしでは生きていけなく


なればいいのに」



意地悪そうに言いながらも、彼は一度だって私に触れようとはしなかった。



そんな彼の態度は、私の狡さを増長させていって、彼を慕うコだってたくさんいたのに、彼はその誰とも付き合うことはなかった。



離れなきゃダメなのに。



彼の優しさに甘えてばかりはダメなのに。



先輩がいない寂しさは、私をどんどんダメにしていく。

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