第9話
お金が掛かるからと携帯すら持たない先輩への連絡手段はなく、私はひたすら待つことしか許されなかった。
でも、先輩が旅立って1ヶ月目、2ヶ月目、必ず写真が届いていた。
田舎の風景だったり、
子供達の笑顔だったり、
本当に色んな写真。
そのどれを見ても、やっぱり私は無性に泣きたくなる。
傍にはいないはずの先輩が鳴らす、シャッター音が、聞こえてくる気がした。
あぁ、やっぱり先輩の撮る写真が私は好きだ。
写真を通して、彼が見つめる風景を私も一緒に見ていられる。
先輩の写真を見るたびにそう感じて、先輩への想いを奮い立たせて次に届く写真を待つ。
でも、寂しさは塵のように僅かずつでも積もっていく。
消えて無くなることはないんだ。
たとえ彼の写真を抱き締めて寝たとしても。
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