第8話

「てまり、俺と付き合って」



ずっと、友達だと思っていた男性からの告白に心が揺れなかったといったら嘘になる。



すぐ傍で声が聞きたい時、



今すぐ会いたい時、



彼はいつもいない。



目の前にいるこの人なら、私を一人にしないだろうか?




「いつも私の隣にいてくれる?」



口を開けば、彼は力強く頷いてくれた。



「寂しい思いなんて、俺はさせないよ」



涙が溢れた。



どうして私、泣いているんだろう?



目の前の彼に抱き締められて、優しく背中を撫でられて、涙は止まる術を知らない。






……ねぇ、先輩。



私、先輩の温もりさえ、今はもう思い出せないよ。

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