第7話

先輩が乗ったローカル線の赤茶けた電車を見送り、駅に一人立つ自分。



何だろう、酷い脱力感に襲われた。



本当は、扉が閉まる瞬間まで迷っていた。



別れを告げること。



……結局言えやしなかったけれど。



いつものように「行ってらっしゃい」と、ただそれだけ。



いつも、私の元から軽やかに飛び立っていく先輩の足枷にすらなれない私だから、せめて私がいる事で、飛び続けるその翼を休める止まり木位になれるのならと、ずっと思ってはきたけれど。



寂しいと思わない日はない事、先輩は気付いているんだろうか?



私だって、安らぐ場所が欲しい。



そしてそれは、いつも隣にいてくれる人がいい。


そう望む私は弱い人間なのだろうか?

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