第3話

そんな「変な人」だった先輩を見る目が私の中で変わったのは、部活紹介の時に見た先輩の写真に出会ってからだ。



地元の人でもあまり知られていない、小さな公園に立つ桜の大樹の写真。



桜吹雪の中、桜の大樹を見上げる一人の男の人が写っていた。



桜色に霞がかかる視界の中、男の人の表情は風に乱れた前髪で隠れて見えなかったけれど……



その男の人の足元に落ちていくものが、光に反射して写真の中に残った。



それが、涙だったのかと問われれば定かではないけれど、その写真を見ていたら無性に泣きたくなった。



本当に泣きはしなかったけど、胸がぎゅうっと押し付けられて苦しくて。



そんな風に何かに魅了されたのは初めてで。



私にそんな想いをくれた、その写真を撮った人の事が、すごく気になった。



写真部に押し掛け、カメラ初心者だった私は先輩からいろんなことを学んだ。

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