第10話

進藤くんの気遣いのお陰で、彼に対する気不味さは少しだけ軽くなった。



同じクラスでギクシャクしてれば、どうしたって目立つし、他人に詮索されてしまう結果になる。



だから、彼からのこの申し出は本当に有り難かった。



入学式も無事に終わり、クラスに戻って自己紹介や諸々の確認事項の説明が延々と続いて、その日は終了。



帰り際、進藤くんは笑顔で「じゃあなっ」て言ってくれて、私もそれに笑顔で返した。



進藤くんから言ってくれたこととはいえ、あんな風に普通に接するのって、実は結構勇気がいることだって思う。



私だったら振られた相手に笑顔なんて、早々向けられない。



私の事気遣ってくれて、多分きっと、無理もしてるのかもしれない。



そんな彼の思いに報いる為にも、私も普通でいようって思った。

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