第17話

「……あんな思いをまたする事になる位なら、女子には二度と近付きたくない」



それは無理があるんじゃ……。


そうは思ったけど、口にしなかった。


遊佐くんがどれほど嫌な思いをして、そう思うに至ったか、私は到底理解できそうにないから。


「……私なら、自分を嫌いな相手と一緒に過ごすことは苦痛ですけど」


今だって正直息苦しさまで感じてしまっている。


「そんなにハッキリ、嫌いな相手を前にしてそうだとは普通は言わないけどな」



「え、?いえ、遊佐くんがそうだなんて一言も……言ってません……けど」



否定しきれていないのだろう。遊佐くんの苦笑に胸が詰まった。



「……女ってなんで自分を守る事に必死なの?自分だけ良けりゃ、周りはどうでもいいもんなの?」



私に聞いているんだろうか、これは。


答えに戸惑う私を横目で見ながら、私の手からゾウリムシのペットボトルを奪った彼は、それを陽に透かして見入っている。



「俺の言葉を信じないアイツにもムカつくけど、あの女があんな卑怯なことしなければ……」



独り言みたいにこぼれ落ちる愚痴。


紡ぐ遊佐くんの表情は痛々しいくらいに傷ついているように見えた。


きっと、その友達の事がすごく好きで、大切な友人だったのだろう。


だから余計腹立たしいのだろう。

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