第16話

「遊佐くんは、私と違って一緒に過ごす友達は多いですよね?」



素朴な疑問を投げかければ、彼はギュッと眉根を寄せた。


何か不機嫌になる言葉が混ざっていただろうか?とビクビクしながら彼を見た。



「教室にいたら女子が声をかけてきてウザイ」



何故こうも勿体なく失礼な言葉ばかり紡ぐ人なんだろう、この人は。


どこまで女子が嫌いなんだろう。とまこに理由は聞いたけれど、そこまで貶すこともないと思う。


遊佐くんと仲良くなりたいっていう純粋な気持ちすら彼には迷惑なんだろうか?


あ、でもそれならどうして。



「ウザイなら、私にだって話しかけてこなければいいじゃ……ないで……すか」



尻窄みになっていくのは、遊佐くんの目尻がピクッと引きつったのが見えたから。



「……山田さんは、俺の事が嫌いだから楽でいいんだ」



「へ?」



嫌いだから楽でいい……?



「女子なんて嫌いだよ。すぐに勘違いしてヒステリーで。自分を守ることに手段を選ばず平気で人を傷つける」



憎々しげに話す遊佐くんの言葉に戸惑う。

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