第11話

怒らせた?


……のかもしれない。いや、確実にそうだ。


だって彼の床を蹴る足音が乱暴で怖い。


それにそんな彼の様子を見たクラスの女子がヒソヒソと話す声が聞こえる。


「遊佐くん怒ってたよね」「山田さん何怒らせたのかな?」とか、そんな声。


怒らせるつもりは無かったのに、私のどこが悪かったんだろう。


どう答えたら彼は怒らずいてくれたのだろう。


理由が分からない私にはどうしようもない。


そう考えてあの日はそれ以上遊佐くんの事を考えるのは諦めたのだった。


あの後からだ。


私がとまこと一緒にいて、そのとまこに茂木くんが寄って来る時に遊佐くんがついてくるようになったのは。


しかも、訳のわからない言葉を投げかけて。


「山田さんは敵を作るタイプだよな」


とか、


「もう少し周りに気を遣うべきじゃないか」


とか、


「山田さんみたいに失礼な女子は珍しい」


だの、


「人を人として扱ってないだろ」


色々な、決して好意的ではない言葉ばかり。

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