第9話

そんなとまこの幼馴染の茂木くんと、その親友の遊佐くん。


クラスの特に女子が騒然としていたのは、学年中でも指折りのイケメン2人と同じクラスになれたかららしい。


イケメンにも、他の男子にも興味のなかった私はとまこが与えてくれた情報も馬の耳に念仏。


ふーん、そうなんですか。と何ともあっさりとした返事をしてしまった。


そんな私をとまこは「おもしろい」と笑って、茂木くんは「俺らを見ても赤くならない子なんて初めてだ」と残念そうな顔をした。


そして遊佐くんは、私をチラリと見ただけで何も言わなかった。


どうやら、遊佐くんは女子に対してあまりいい感情を持っていないらしい。


とまこに聞いた話だと、中学生の頃仲の良かった友達が好きだった彼女に告白されて、ちゃんと断ったのに誤解されて友達と絶交するに至った経緯が彼を今の女子を苦手とする理由らしい。


イケメンにはイケメンで悩みがあるのだと、何となく思った事を覚えている。


私には何の関係もないけどね。


だから、私と遊佐くんが関わり合う理由なんて1つもなかった。


私は大好きなとまことゾウリムシと過ごせれば、学校生活で他に望むものは何もなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る